『両生類日記』

ガンバレ源太!

源太(クロサンショウウオ)との、112日間の交わりを綴ったものです。 

6月17日、 とある山の中で奇妙な物体を発見(写真撮ったが事故によりデーターとぶ)。
ぶよぶよのクラゲのような、またこんにゃくのような、ゼリーのような…、きっとお皿に盛られて酢みそでも添えられれば、ちゅうちょ無しに口に運ぶであろう…、な訳ないか。
しかし、よく見ると中にやはり半透明なつぶが入ってる…、うん!これは卵だ!。
さっそく、空になったペットボトルで採取。
しかし、入れるのがなかなか難しい、思いっきりボトルを潰して吸い込むようにすると見事入る。

6月20日、 近所のデパートへ行って水槽を買う。
どれが良いだろうか、迷った挙げ句、カメの飼育用を買う、480円だ。
水はカルキを抜いた方が良いのだろうか?。
元は泥水のような所にいた、それに比べればカルキぐらいどうって事無いか…。
いやいや、たとえ泥は混ざっていても、元々はアルプスの天然水…、でも、まぁ、いいか。

6月23日、 なんと孵る!ちっちぇ〜!めだかみたいだ!。
しかし頭の横にえらが剥き出しになっている、両生類だ。
う〜ん、はたして大きくなるのだろうか。

6月30日、 あっ、あの両生類どうしただろう?。
久々で物置きをのぞく(実は物置きに置いてあった)、3匹生きてる。
ちょっと水が臭くなっていたので換えてあげる。
そういえば、子供の頃、よく蛙を捕まえた(また、蛙もたくさんいた)。
おもに殿様蛙だ、みどりに黒いしま(斑)のあるやつ、全長10〜15センチあるやつだ。
そんなのをバケツ一杯捕まえてきて(もちろん手づかみだ)…、あれどうしたのだろう?。
飼った記憶は無い、もちろん食べた記憶も無い。
(一度、お袋が中身を知らずに蓋を明け、腰を抜かしたのを覚えている)。
ザリガニも沢山釣ってきた、これはしょっぱなは煮干し、後は尻尾を使った友釣。
フナやどじょうもよく捕った、カイボリと言う手法、田植えの頃、川の水が引いた頃、川を泥でせき止め、中の水をバケツでかい出す、水が無けりゃ魚なんて手つかみ!。
で、その魚や…、ザリガニ、どうしたんだろう…、覚えて無い。
昔から、捕るのは好きなのだが、飼うという習性があまり無かった…、ような気がする。

7月7日、 ま、まだ生きている!。
思いきって器を替えて(パイレックスの瓶)仕事部屋のパソコンの隣に持ってくる。
う〜ん、なかなか可愛いもんだ、写真を撮ってあげよう、で、撮ったのがこれだ。
ピント合わせが難しい、やっこさん動き回るもんで、少しはじっとしてろ!って言うのだが、聞こえないふりをしている。
まだ2センチ程だ、しかし前足は出てきている。
はたして何者だろうか?そろそろ正体を明かしてくれても良いだろうに…。
山椒魚か?イモリ?ヤモリ…は、爬虫類か。
イモリなら黒焼きにすると惚薬になると言う。
う〜ん、イモリがいいな〜ぁ。
で、ウーパールーパーって事は無いよな〜ぁ。

7月10日頃、 おはよう!今日も元気かい!。
いつのまにかマニアの域に入りそうな気がする、「両生類大好き人間!」なんてね。
そう言えば、以前、娘が保育園へ行っている頃、仲の良い友達の家が熱帯魚(アマゾンあたりにいるやつ)を飼っていた。 もちろん旦那さんが飼っている訳だが、とてもおとなしい物静かな旦那さんだった。 そして、それにひきかえ奥さんは…。 思わず「う〜ん、旦那さんが熱帯魚を好きになる気持がわかる!」と言ってしまった。
でも、芸能界一の恐妻家と知られている峰竜太も、すごい水槽ですごいのを飼ってたなぁ…。
いや、決して自分も恐妻家だ…、などと言っているわけではありません(念のため)。

7月12日、 インターネットにて検索をかける。
検索なんて久しぶりだ、もともとあまりインターネット情報などと言うのは信用してない、当てにしてない(自分でHPを持っていて言うのも何だが…、だから、尚更とも言える)本当に重要な情報と言うのはやはりロハでは手に入らない。
で、検索する事20分、成魚(魚?)及び卵の写真しか発見出来ず、いまいち確定出来ない、ただし、卵の形状から「黒山椒魚」と言う線が濃厚だ(ちなみにレッドデーターブックには登録されていない)。
解ったのはそこまでだ、もっと知りたい事、たとえば何を食べるのか?は、出て来ない、実はこれが一番知りたかった事だ。 とりあえず金魚のえさを買ってきて与えたが、水が汚れるだけで、ほとんど食べた気配が無い、でも、すでに3週間生きている、腹はへらないのだろうか…。

7月13日、 後ろ足がちょっと生えてきた。
金魚のエサはどうやら大きすぎたようだ、細かく砕いてやったらなんとか食べた。
それにしても3リッターのパイレックスの瓶はちょっと狭いのか、酸欠になると見えて、時々水面に顔を出し、パクパクしている。
???こいつ両生類だから肺もあるんだよなぁ…、と言う事は、ただ単に呼吸をしているだけか?。
でもまあ、色取りを加えるつもりで、金魚藻を買ってきた。
これで光合成により酸素供給もされる。
ちなみにパイレックスの瓶はパッキン付きの蓋が付いている、つまりこの中で、光と藻と山椒魚の間で連鎖が起る訳だ。
ただし、こいつが金魚藻を食べればの話だが…。
(ビー玉より大きさが想像できる)

7月15日、 お披露目をした。
シーズン終了の打ち上げの帰り、メンバーが数人我家へ寄った。
で、お披露目をした。
「か〜わい〜!」と言う声、うん、確かにかわいい瓶に入っている、そして「名前付いてるの?」。
そ〜言えば、名前がまだ無い。
名前を考えようか…、3匹いる、名前も3つ必要だ。
しかし、名前を付けても、3匹の見分けが付かない。
皆、同じような大きさで、同じような顔をしている。
唯一、しっぽの斑点で識別出来そうだが、それをするには、天眼鏡が必要だ、名前を呼ぶたびに天眼鏡…。
もう少し大きくなるのを待とう。

7月23日、 悲しい…。
とても気温の高い日だった、一日留守にした。
クーラーを入れない室内はいったい何度まで上がっていたのだろう。
次の日、気が付くと藻が腐っていた。
チビ達のうち、一匹は動かずもう一匹は半分溶けていた。
残った一匹をシェラカップに移し、藻を捨て、瓶を洗う。
あ〜ぁ、なんてぇ事だ〜ぁ…、出かける前に冷蔵庫に入れておけば良かった…。 

8月10日、 多少大きくなったのだろうか?。
残った一匹、源太と名付けた(と言ってもオスだかメスだか定かではないのだが…)。
その源太、すこぶる元気だ。
先日の事があるゆえ、出かける時は必ず我家で一番涼しいだろうと思える場所に置いておく(さすがに冷蔵庫には入れないが)。
金魚のエサも毎日3粒程食べているようだ。
足も4本ちゃんと識別出来るようになった。
でも、いまだにエラは外に出ている、大人の形になるまであと幾日必要なのだろうか。

8月25日、 随分大きくなった。
孵化してやっと2ヶ月、体長5cm程になった。
金魚のエサも一日に10粒程食べる。
何よりも歩く!水の中を四つ足で歩き回る、凄い進歩だ。
そのうち地上へ上がるのだろうか?。
そして、いずれ二本足で立つようになるのだろうか?。
道具を使うようになるのには、後何億年必要なのだろか?。
定かで無い、定かで無いが、大方の予想では君達に未来は無い。
火を使えるようになるずうーっと前に、別の生物によってこの星は燃え尽くされる、と思う。

昔、「ねこに未来はない」と言うエッセイを読んだ事が有る。
「ねこに未来はない」つまり猫には未来を感じる事が出来る、前頭葉という脳の組織が無い(まぁ、猫の額って言うぐらいだから、スペース的に無理だったのだろう)。
そういう意味ではこの源太も似たようなものだ(額なんてどこにも存在しない)。
でも、未来を感じる事が出来ない源太と、未来を思い・煩う自分達と、はたしてどちらが幸せなのだろうか…、なんて考えてみると、源太、まだ君にも分が有る。

9月4日、 病気になった。
遊びに忙しく2〜3日放っておいたら、手足に白いカビのようなものが生えた。
急いで水を変え、ペットショップへ薬を買いに走る。
昔、金魚を飼っていた時、やはり白いのが出て、ブルーの薬で直した事がある、それをやってみようと言うのだ。
正式名は解らないが通称「エチレンブルー」、名前の通りブルーの水槽になった、気分もブルーになった。

何か治療方法は無いかと、再び検索サイトにて探していたら、凄いのが見つかった、タイトルそのものズバリ!
『かわいいクロサンショウウオ』さすがインターネットだ、解らなかった事が全て書かれている。
早速「お気に入り」に登録、もう昨日から10回は訪れている(自分のHPの更新も程々に…)。
リンクも豊富だ、おまけにMLまである、凄い、世の中にこんなに両生類好き人間がいたとは、嬉しい。

9月7日、 水カビは消えた、が…。
薬の効果は凄い、使用方法としては水50Lに15ccを3日間、連日加えると言うものだった。 つまり2L水槽だから0.6ccと言う事になる、それを注射器にて正確に測り注入!。 で、2日目にて水カビは完全に消えた。
3日目の今日は薬注入中止、逆に水を1/3程入れ替える。
エサ(相変わらず金魚のエサ)も元気よく食べている、結構、生命力強いようだ。
しかし、片側の足が水カビにやられて少し短くなってしまった、トカゲの尻尾のように、ちゃんと元に戻るだろうか。 「オオサンショウウオ」の事を別名「ハンザキ」と言うらしい、つまり半分に裂いても死なないほど生命力強いと言う事らしい。 「クロサンショウウオ」も、まぁ、同類だ、がんばれ源太!。

10月6日、 地へと帰っていた…。
それは突然だった。
昨日まで元気良く泳いでいたのに、朝、気が付くと水底に沈んでいた。
庭に埋葬した。
淋しい。

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